温州ミカンに多く含まれる、 「β-クリプトキサンチン」の健康パワー

1日3個!

 寒くなると出回るのが「ミカン」。昔から「ビタミンCが豊富」「食べると風邪をひかない」

などといわれてきたが、最近の研究によって改めて健康効果が実証された。風邪だけでなく

肝機能障害や骨粗しょう症などにも効果が期待できるという。そうした健康効果をもたらす成分が

「β―クリプトキサンチン」。聞きなれない名前だが、いったい何者?

「β―クリプトキサンチンとは、ニンジンに含まれるβ―カロテンと同じカロテノイドの一種で、

ミカンの橙色の色素成分です。ビタミンAの原料ともなり、抗酸化力が非常に強いので、

たくさん食べると病気にかかりにくくなるといわれています」

その他のカロテノイドの例としては、トマトのリコピンなどが挙げられる。

このβ―クリプトキサンチンが注目されたきっかけは、「三ケ日町研究」と呼ばれる疫学調査

農研機構果樹研究所(静岡市)と浜松医科大などが2003年に始めたもので、「三ケ日みかん」

ブランドで知られる静岡県西部の三ケ日町の住民1000人以上を対象に、

ミカン食と健康の因果関係を長期的に調べた。

その結果、ミカンに含まれるβ―クリプトキサンチンが、インスリン抵抗性や肝機能障害、

喫煙・飲酒による酸化ストレス、メタボ、骨粗しょう症に対して予防などの

健康効果が期待できることがわかった。

同町の「JAみっかび」は、これらのうち「骨粗しょう症」に注目。三ケ日みかんを「機能性表示食品」

として消費者庁に届け出。骨の健康に役立つβ―クリプトキサンチンを多く含むと箱に表記して、

今年11月上旬から売り出す予定だという。

JAみっかび広報センターは、「1日3個以上が目安。甘いほどβ―クリプトキサンチンを多く含みます。

これを機に、年々進む“ミカン離れ”を食い止められれば」と期待する。

ちなみにβ―クリプトキサンチンは、柑橘類だと温州ミカンに最も多く含まれ、オレンジの約10倍。

同等に含む物は他に柿やパパイアなど。ミカンが最も手軽だといえる。

ミカンを食べると手が黄色くなるのはこのβ―クリプトキサンチンのせい。

いくら食べても、同成分が体に害を与えることはないそう。

さらにいいのは、「持続性」が高いこと。食べると2~3カ月は血中に成分が残るという。

つまり冬の間に食べておけば、夏ごろまでその健康効果が体内で続くのだ。

ただし気になるのは糖分。

「ミカンには果糖が多く含まれるので、食べ過ぎると中性脂肪の原因となります。ただし、

1日数個など常識の範囲内なら全く問題ありません。それ以上に期待できる健康効果が大きいので、

お菓子やご飯など他の糖類を控えるなどしてでも、食べて欲しいですね」

1日ミカン3個――これが健康への合言葉だ。

皆さんも是非試してみては。